フランスのラープスから、限定ペーパースリーヴでのリリース。エコパック見開き紙ジャケ仕様、LTD.200枚プレス。ネッド・ミリガンはニュー・ヨークを拠点とする音響系ミュージシャンで、小学校教員として働く傍らで音響＆アンビエント系作品をリリースし続けているらしい。本作は、23年にリリースされたアルバムで、メンバーは、オートハープ、チャイムス、フィールド・レコーディングのミリガン1人による多重レコーディング、プロデュースはマティアス・ファン・エークロー(ラープス・レーベル創始者）。おそらく、オートハープと各種ウインド・チャイムスの音をリヴァーブ等で残響させたドローン空間に、そのオートハープやチャイムス群の生音やミュート音、鳥の囀り、虫の鳴き声、焚き火の音、水の音、馬やロバの鈴の音、人の声、何かしらの生活音・日常音などなどのフィールド・レコーディング・マテリアルが浮遊する、ミュジーク・コンクレート要素内包のドローン・アンビエント・サウンドを展開。例えば、何かが揺らいでいるようなダークな埋没感はポポル・ヴーの「オルフェオのミサ」辺りに、失われゆくものを慈しむようなゆったりとした郷愁感は、近年のクレア・ラウジーやケリー・レイマーの諸作辺りに通じる印象で、全体が淡い薄明かり的な情感に収束する、非常に静謐なサウンドスケープを堪能出来る。環境音や生活音から想起される日常的な情景と、その音自体から立ち昇ってくる色や模様のイメージが交叉して、個々のリスナーの脳内ファンタジー世界を自由に彷徨えるという意味では、優れて瞑想的なメディテーション・ミュージックの好盤と思う。ともかくも浸れて、流していて心地好い。
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輸入盤／200枚限定プレス
(Psyche/Drone,Ambient,Musique Concrete / Paper-Sleeve CD(2023) / Laaps/France)
