ドイツのペイズリー・プレスから、15年リマスターでのリシュー。多分初CD化。カーゴはオンタリオ州トロント出身のグループで、60年代中頃にノーム・フォスターが結成したプロフェッツを母体として、ザ・シティ・スイートを経てカーゴに改名した。本作は、70年にカナダのリングサイドからリリースされたセカンド・アルバムで、メンバーは、前作からのフォスター、マイク・プラウドフット、ガース・ヴォーガンの3人に、新たにレイ・パーカーを加えた4人編成。概ね、前作の延長線上にある、ジャズ・ロック色内包の煮え切らないアート・ロック方面で、サイケとプログレの折衷具合やアンバーな空気感は、例えばイギンボトム辺りに近似する印象。明る過ぎず暗過ぎずのジャズ基調の楽曲、寸止め感十分の演奏、シャープさとソフトさが交叉するソリッドな音像のマッチングは、どこかポスト・ロック的なサイケ感に繋がっていて、その意味ではポスト・ロックといえるかも知れない。あまり派手さはなく、インパクトも強くないが、ファズ＆クリア・トーンを器用に使い分けるギターや、チープな音色でグルーヴを出すオルガンなどに、ジャズを基調に自分達なりのロック調スタイルを模索して試行錯誤した跡が見える。この線としてはありがちな、煮え切らなさが結果として味わいを生んでいるタイプで、けっこう意外な「ジョーディ(トゥリーズ等で知られる著名トラッド曲)」のカヴァーも含め、ある程度年季の入ったリスナーならその煮え切らなさを楽しめると思う。
輸入盤／デッドストック入荷
(Psyche/Art Rock,Jazz Rock,Progressive / Jewel-case CD(2015 Re-master) / Paisley Press/German)
